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半導体とは

半導体(はんどうたい)とは、電気を通す導体や電気を通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質である。英語semiconductor("semi-" 半分、やや、"conductor" 導体)からの翻訳。

周囲の電場や温度によって電気をどの程度通すか(電気伝導性)を敏感に変化させるその性質は工業上極めて重要である。今日の電子工学の基礎をなす半導体素子、あるいはその集積体であるICといったものは半導体の性質を利用して作られている。


金属、半導体、絶縁体におけるバンドギャップ(禁制帯幅)の模式図。半導体では空いている伝導帯の電子(伝導電子)を外部からの刺激で増やすことで、物性を動的に変化させられる。金属ではエネルギーバンド内に空き準位があり、価電子がすぐ上の空き準位に移って伝導電子となるため、常に電気伝導性を示す。半導体は産業のコメだと言われるほど非常に重要な分野である。

目次
1 物性
1.1 バンド構造
1.2 キャリア
1.3 n型・p型
1.3.1 n型半導体
1.3.2 p型半導体
1.3.3 真性半導体
1.4 キャリアの補償
1.5 温度の影響
2 材料
3 応用例
4 関連項目



物性

バンド構造

半導体のバンド構造の模式図。Eは電子の持つエネルギー、kは波数。Egがバンドギャップ。半導体(や絶縁体)では「絶対零度で電子が入っている一番上のエネルギーバンド」が電子で満たされており(充満帯)、その上に禁制帯を隔てて空帯がある(伝導帯)。半導体の性質で特徴的なのが、熱や光、磁場・電圧・電流などの刺激でその物性が動的に変わることである。この特徴により、半導体の応用範囲は非常に多様なものとなっている。この特徴は適切な幅の禁制帯を持つバンド構造に由来し、電子が伝導電子になったり価電子になったりすることで、電気的・光学的・熱的などの面で性質が変化する。

より厳密には、半導体とは、価電子帯の部分の状態密度が完全に電子で詰まった充満帯となっており、一方伝導帯は空(空帯)で、価電子帯と伝導帯の間にバンドギャップが存在する状態、またはその状態を示す物質である。同じようにバンドギャップが存在する絶縁体に比べて、半導体はバンドギャップがより狭いことで区別されるが、この区別は必ずしも明確ではない。例えば、通常ダイヤモンド(バンドギャップは実験値で約5.5 eV)は絶縁体として扱われるが、半導体として扱う場合もある。通常半導体として扱われる物質のバンドギャップは、シリコンで約1.1 eV、ゲルマニウムで約0.67 eV、ガリウムヒ素化合物半導体で約1.4 eV。発光ダイオードなどではもっと広いもの(ワイドギャップ半導体)も使われ、リン化ガリウムでは約2.3 eV、窒化ガリウムでは約3.4 eVである。

バンド理論の項も参照のこと。


キャリア
半導体中における伝導電子や正孔を、まとめてキャリア((charge) carrier、キャリヤ、キャリヤー、担体)と呼ぶ。半導体中における、電荷の移動(電流)の担い手である。

半導体において単に「電子」と言った場合は、通常伝導電子のみを指す(「電子が欠乏」「電子が無い」などと言っても、半導体を構成する原子の中の電子が全て無くなったりしている訳ではなく、単に伝導電子が不足する様を表す)。
多数キャリア(majority carrier)とは、n型半導体中の電子(伝導電子)、およびp型半導体中の正孔を指す。単に「キャリア」と言った場合は、通常は多数キャリアを指す。
少数キャリア(minority carrier)とは、n型半導体中の正孔、およびp型半導体中の電子を指す。
なお厳密には、p型/n型どちらの型の半導体も、必ず伝導電子と正孔の両方をもっており、内部では常に熱エネルギーなどによる生成と消滅が繰り返されている。p型/n型とは、そのバランスがどちらか一方に(多くの場合は数桁以上の比で)偏っている様を表す。


n型・p型
純粋な半導体は多くの場合、そのままでは伝導性が低いが、半導体不純物(ドーパント)を混ぜること(ドーピング)でキャリアの密度を上げ、適当な伝導度や性質を持つように作製される。多数キャリアが電子または正孔のどちらであるかによって、それぞれn型とp型に区別される。


n型半導体

n型半導体 Si(シリコン)にP(リン)をドープした例。5つの赤い丸がリン由来の価電子。一つだけ余った「e-」と書かれている電子が、電荷の運び手(キャリア)となり、結晶中を自由に動き回る。電子(伝導電子または自由電子、正確にはほとんど自由な電子)が過剰な半導体。価数の多い元素をドーピングするなどの手法で作製される。例えばシリコンやゲルマニウム(4価の元素)の結晶に、ヒ素などの5価の原子を混ぜることでn型となる。原子の結合に用いられず余った自由電子が負の電荷のキャリアとなる。不純物の導入によって生成されたキャリアは、導入された不純物原子から受けるクーロン引力により束縛される。ただし、その束縛は弱く(ゲルマニウムのn型半導体では、電子束縛エネルギー = -0.01 eV、ボーア半径 = 4.2 nm、なお、結晶の原子間距離 = 0.25 nm)、室温では熱励起(約0.025 eV)により束縛を離れ、結晶中を自由に動き回るようになる。 バンド構造で言えば通常、ドーパント原子は禁制帯の上端付近にドナー準位を形成し、そこから熱エネルギーにて伝導帯へ励起される。フェルミ準位は禁制帯中のドナー準位に近い位置になる。


p型半導体 Si(シリコン)にB(ホウ素)をドープした例。
p型半導体
正孔が過剰な半導体。価数の少ない元素をドーピングするなどの手法で作製される。たとえばシリコン(4価)の結晶にホウ素などの3価の原子を混ぜることでp型となる。電子が不足し原子が結合できない部分(正孔)が正の電荷のキャリアとなる。正孔は電界の変化に反応してあたかも正電荷を持つ荷電粒子であるかのように振舞う。バンド構造で言えば、ドーパント原子は禁制帯の下端付近にアクセプター準位と呼ばれる空の準位を形成し、アクセプター準位へ価電子帯から熱エネルギーにて価電子が励起されることで、価電子帯に正孔が発生する。フェルミ準位は禁制帯中のアクセプター準位に近い位置になる。


真性半導体
不純物や格子欠陥を全く含まない半導体では、全温度領域においてキャリアの供給が価電子の励起のみによる。これを真性半導体と呼ぶ。フェルミ準位は禁制帯の中央に位置する。後述の温度の影響も参照。


キャリアの補償
ドナーとアクセプタの両方が存在する場合、ドナー準位からアクセプタ準位に電子が遷移する。このためドナー密度がアクセプタ密度よりも大きい時は全体としてn型となり、逆の場合はp型となる。これをキャリアの補償(carrier compensation)と言う。


温度の影響
半導体では通常、温度が上がると電気伝導性が増す。

室温においては前述のとおり、ほとんどのキャリアが不純物原子から受ける束縛を離れて結晶中を自由に動き回っている(言い方を変えると、導入された不純物原子(ドナーあるいはアクセプタ)はほとんどがイオン化している)が、温度が低下していくとともに熱励起も弱くなり、不純物原子のクーロン引力による束縛を受けるようになる。前者の、ほとんどのキャリアが束縛を離れている温度の領域を飽和領域(あるいは出払い領域)といい、後者の、キャリアが束縛を受ける温度領域を不純物領域という。なお、温度を上昇させると、価電子までもが熱励起され、キャリアの供給源となるようになる。この温度領域を真性領域と呼ぶ。通常半導体素子として利用する場合、半導体の飽和領域における振舞が利用される。

逆バイアスされたPN接合などにおいて温度が上がりすぎると、キャリアの増加で電流が増加し、その抵抗発熱でさらに温度が上がる熱暴走が発生する。





材料
半導体の材料としては、下記のようなものがある。

IV族半導体:Si、Geなど
化合物半導体
II-VI族半導体:ZnSe、CdS、ZnOなど
III-V族半導体:GaAs、InP、GaNなど
IV族化合物半導体:SiC、SiGeなど
I-III-VI族半導体:CuInSe2などカルコパイライト系半導体
有機半導体

応用例
P型半導体、N型半導体を接合(PN接合)したダイオード、N型半導体をP型半導体で挟んだ、もしくはP型半導体をN型半導体で挟んだトランジスタなどに応用されている。また、太陽電池もPN接合を用いて設計されている。詳しくは半導体素子の項を参照のこと。

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